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『スラムドッグ$ミリオネア』 (2009) [映画 (2009 鑑賞作品)]

 クイズ・ミリオネアが狂言回しみたいに使われている、とても面白い映画です。

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 で、純愛映画です。初恋物語で甘くコーティングされて、クイズ・ミリオネアのスパイスを効かせた、とっても悲惨な映画です。

 インドという国の貧富の差ゆえの、少年の生き様が描かれています。この映画のお話からクイズ・ミリオネアという語り部を外してしまうと、なんとも悲惨な少年の生い立ちや経験したきた事柄の酷さが、胸に迫ってきて辛くなります。



Jai Ho. Banda sonora de la película Slumdog Millionaire
de Danny Boyle, compuesta por AR Rahman


 でも、残念ながら、こういった悲惨な少年たちの状況は、いまでも確かに、世界中に存在しているし、さして特筆すべき事ではないような気もします。舞台がインドだから、今はIT分野でも世界のトップクラスの位置にいる国だからこそ、ほんの20年近く前のインドの状況との、大きな落差が目立つのかもしれませんし、だからこそ、映画的に面白いものが作れるのかもしれません。

 私は、そういった、これから発展していこうとしていた国の底辺で、人として扱われないまま、生き抜いてきた子供たちの姿を描いた作品をたくさん観てきました。日本だって、そんな時代があったし、そんな作品はたくさんありました。

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 いつの時代も、舞台となる国は変われど、作り続けられてゆく映画の題材ではあると思います。多くの人たちに、いまを、世界のどこかで今も繰り返されている子供達が犠牲となってしまう惨状を、警告し続ける、映画には、そんな使命を確実にあるのだと、私は思います。

 この作品は、そんな、今までも描かれてきた子供達の状況を、クイズミリオネアという、エンターテイメントと掛け合わせて、観客を飽きさせずに、最後まで引っ張ってゆくパワーがあると思います。

 そして、インドという国の古来の楽器や音楽が、UKを中心とするダンスビートと融合して、生み出された、得もいわれぬ、ノリの良い、映画音楽が、この作品のリズムを作っています。もう、20年近くも前から、インドのミュージカル映画に存在していた、ビートの効いたインド音楽は、確かにこの作品では、必要不可欠なもののように思えます。

 アップテンポで展開していく、お話。クイズの1問1問が出題されるごとに、フラッシュバックしていく、主人公ジャマールの過去。とりあえず、映し出されたテレビ番組の最初の1問で、この映画が何をしようとしているのか、何を言いたいのか描きたいのか、観客はすぐに感づいてしまいます。

 しかし、その時には、もう遅いのです。フラッシュバックを多用した語り口に、テンポのある演出に、観客は乗せられて、一気にラストまで、突っ走ってゆく監督の思惑に、しっかりハマっているのです。

 しかし、この映画の主人公はジャマールなんでしょうか。私は、ジャマールの兄であるサリームこそが、この映画の真(裏?)の主人公だと思っています。

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 計り知れない逆境に、果敢に戦いを挑み、時には悪に染まり、手を汚しながらも、弟ジャマールを守り続けた、時には冷酷な行動もいとわない、サリームこそが、あの時代のインドのスラムを生き抜く事の出来た、真(裏?)の主人公なのだと思います。

 ジャマールは兄に守られ、運良く生き抜けて、クイズミリオネアの舞台に立ちます。そう、あくまで運がいいだけです。

 悉く難問に正解できるのも、単に運がいいだけです。映画を見ていれば、ご都合主義の展開に驚くかもしれません。しかし、余りに過酷な生き方を強いられた兄弟の姿を見せられて・・・・、

 観客は弟の強運に目を瞑るのです、弟の純愛に救いを求めるのです。この監督の用意周到な作劇法には、唸らされます。

 クイズの最後の問題が、余りに簡単な理由は、この作品を観ている観客が、いかに恵まれた環境にいるかを、気づかせるために、敢えて、監督は優しい問題に摩り替えたのです。こんな問題、誰でも知っている・・・・、と思ってしまう観客は、この映画の真実が見えていない、と言いたいかのように思えます。

 一方、果たして、そうなのか疑問には感じますが、素直な心で、この作品を真正面から受け止めれば・・・、

 ジャマールは生きてきた時間の中で培われた知識を生かして、最後の問題まで実力で勝ち抜いてきた、そう彼が運を使うとすれば、たった一問、最後の問題にだけ彼は運を・・・、と言うことになるんでしょうね。しかし、どうなんだろう

 実際は、こんな簡単な問題すら、知りえる環境では、生きられなかったのが、主人公の兄弟なのではないでしょうか。

 どちらにしても、監督の皮肉なのかもしれません。

 また、ラストでは、インドのミュージカル映画を髣髴とさせる軽快な音楽に乗って、踊るジャマールたちが、エンドクレジットの後ろに映し出されます。

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 よくあるオマケ・シーンさながらの演出です。そう、このシーンは、映画のストーリーとは全く関係ない、オマケです。

 でも、監督は、「おまえら、こんなミュージカルみたいなのがインド映画だと思ってたんじゃないか? この踊りを見て、ああ良かった、最後は、やっぱりハッピーエンドだったと思ってるんだろ」と、言っているように思いました。

 その踊りの中には、サリームがいないことを、どれだけの観客が、気に止めたでしょう。真の主人公のいない、このシーンの意味を。

 It was written. 「運じゃなくて運命だった」・・・・オイオイ
 It was written 「定められた人生?」・・・・運じゃなくて象徴だった
  It was written それは脚本・・・・運じゃなくて映画だった


 さあ、どう解釈しようかなあ~。どっぷり浸かるもよし、客観的に観るもよし、結構、入念に練られた、多角的に構成された作品だと思います。

 あっ、演出面とか構成面だけじゃなくて、監督の思いが、背景に多角的に織り込まれているという意味ですよ。『フロストxニクソン』『ミルク』、ここらへんと較べると、ちょっと格違いの、凄さは、ありますね。 『ベンジャミン・バトン』も悪くはないけれど、やはり切り口の鮮やかさや監督の鋭い感性は、飛び抜けていますね。





『スラムドッグ$ミリオネア』 予告編


 転載 2009-05-04 16:17:20

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